萩 の 露 / き ん と ん 製

  • 2013.09.21 Saturday
  • 10:31
 
 

     秋といへば空すむ月を契りおきて光まちとる萩の下露

 
     秋空に輝く月の光を待つように萩にしたたる露
     ここでは月と萩の下露が恋人同士にたとえられています。
     萩色に染めたいらこ、月に照らされた下露の錦玉を
     みどりのきんとんに散らしました。
     古来より歌人たちは露、月など秋の風物詩を萩に
     重ねて歌を詠みました。素朴とも言える萩の花に
     趣く様子は日本の心のひとつかもしれません。

唐衣(からごろも)

  • 2013.06.08 Saturday
  • 15:53


弘道館では、「小さな菓子展」と題して季節の創作和菓子を弘道館入口に展示しています。軒先にディスプレイされた和菓子に、道行く人がふと足をとめて季節の訪れを感じる…そんな瞬間になればと願っています。

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「唐衣(からごろも)」(外郎製)

     唐衣 着つつなれにし 妻しあれば
     はるばる着ぬる 旅をしぞ思ふ

それぞれの句頭に、「か・き・つ・は(ば)・た」の五文字を折り込んだこの有名な和歌は六歌仙の一人、在原業平が都に残してきた妻をしんび、杜若が咲き匂う三河國八橋で詠んだとされる。薄紫の外郎で黄色に染めた白あんを包んだ杜若の唐衣(唐風の衣服)とも思わせる美しい初夏の菓子。

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水 山 吹 / 外郎製

  • 2013.04.17 Wednesday
  • 16:34
 

          山吹の立ちよそひたる山清水
           汲みに行かめど 道の知らなく

                        高市皇子(万葉集)
 
 異母姉弟である十市皇子が亡くなったとき、高市皇子がその悲しみを
 詠んだ謌です。
 山吹の黄色と清水(泉)で、黄泉の国を描いたとも言われるこの世界を
 鮮やかな山吹色の外郎生地で表現してみました。

桜 吹 雪 / 羊羹製

  • 2013.04.08 Monday
  • 16:26
 
         桜花 散りかひくもれ 老ひらくの
          来むといふなる 道まがふがに
              
                     在原 業平(古今和歌集)

  (桜の花よ 辺りが花びらで曇ってしまうくらい散りなさい
    老ひがやってくるという道が分からなくなるように)

 時の権力者、藤原基経の四十の賀の折に業平が詠んだ詠です。
 花びらが散り、一面桜色になってゆく様子を、錦玉羹と吉野羹の流し
合わせで表現しました。

引 千 切 (ひちぎり)

  • 2013.04.02 Tuesday
  • 11:59


 引千切は三月三日の雛祭りに宮中の儀式で御着帯の祝いなどに用いられた
 
 「戴餅」 「小戴」に由来します。

 土台の餅を伸ばし、くぼみを作り、その端の一か所に引きちぎったような形を
 
 添えます。

 これは昔、宮中で人手が足りないときに餅を丸める手間を惜しんで、引きちぎ
 
 ったのが始まりとされています。

 他にも形があこや貝(真珠の貝)に似ていることから「あこや餅」と呼ぶ地方も

 あります。

 老松では桃色と蓬色の二種類の引千切で雛祭りを迎えています。
 

う ぐ い す 餅

  • 2013.02.26 Tuesday
  • 01:12
 

   これまで降っていた雪も雨へと変わり、

   大地が新しい季節を迎える準備を始めています。

   この時期に春告鳥とも呼ばれる鶯も鳴き始め、

   人々に春が巡ってきたことを告げます。

   餅の両端を少しつまんだ形に、鶯粉をまとった

   愛らしい菓子を口に含めば、

春の訪れを感じられるのではないでしょうか。

梅 一 枝 (うめいっし)/薯 蕷 製

  • 2013.02.16 Saturday
  • 01:06
 

           東風ふかば匂いおこせよ梅の花

            あるじなしとて春を忘るな

     和魂漢才。

     梅は奈良時代より以前に中国から渡来しました。

     薯蕷饅頭に焼き印を一本。この焼き印をすっと

     のばすことで、寒さのなかに凛と咲く梅の、

     清々たる姿を表現します。

     紅の匂いをわずかにおきました。

     北野天満宮の梅もつぼみをつけ始めています。

     春のおとずれです。

椿 餅 (つばきもち) / 道明寺製

  • 2013.01.30 Wednesday
  • 13:05
 

 
  源氏物語にも登場する千年以上の歴史をもつ菓子です。

  源氏物語注釈書「河海抄」によると「精米を乾燥させて臼でひいた餅粉を甘葛
  
  煎で練り、椿の葉で包んだ菓子」とあります。

  手に持ちやすく、葉を剥がせばそのまま口に運べるように
 
  自然のものを巧みに利用した先人たちの知恵はそのままに、現代でも沢山の
 
  菓子屋でつくられていますが、注目したいのは”葉の巻き方”です。

  持ちやすいよう葉の丸みに沿わせるように包んだもの(左)と剥がしやすいよう
 
  葉の表面を餅にあてるように包んだもの(右)の二種類があります。

  平安時代の人々が口にしたのは、一体どちらの形だったのでしょうか。

春 慶 (しゅんけい)

  • 2013.01.13 Sunday
  • 13:03


 
              雪間から萌えだす力強い息吹、
            
             寒い冬にも春の生命力は活き活き。
            
             真っ白い雪のような薯蕷饅頭を割ると
          
              春を待つ緑餡が顔を出します。
 
            紅白のこなしの糸は春の慶びの広がりを

                  表現しております。
  

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